vol.2 スパークリングワインSENLY世代がなんとなく知っているようで、実は詳しくは知らない、今さら聞けないマナーや豆知識を専門家に詳しく聞く、大人の手習いシリーズ。今回はスパークリングワインの基本的な知識について、都内でレストランやバーなどを経営し、ご自身もソムリエである杉浦康祐さんにお話を伺いました。──「シャンパーニュ」と「スパークリングワイン」の違いを教えてください。スパークリングワインというのは、発泡性ワインの総称で世界共通の用語。シャンパーニュは、スパークリングワインの一種。フランスのシャンパーニュ地方特産のスパークリングワインの名前になります。スパークリングワインをつくる製法には、いくつかあります。■瓶内二次発酵方式最初のアルコール発酵(一次発酵)は、タンクや樽で行い、瓶詰めした後、二度目の発酵をボトルの瓶内で行う方法。この製法が一番きめ細かで舌ざわりの良い泡が出来上がります。フランス「シャンパーニュ」が最も有名です。■シャルマ方式大きな密閉タンクを使って、二次発酵させる醸造方法。大きなタンクを使用するため、一回の作業で大量に生産できます。葡萄本来の香りが残りやすく、フルーティで飲みやすいタイプに仕上がります。■炭酸ガス注入方式瓶詰めしたスティルワインに炭酸ガスを注入する方法。少ない工程でコストもかけずに大量に生産できるため、リーズナブルな価格で仕上げることができます。──食事の席で、最初にシャンパーニュを頼むのが多いのはなぜですか?食前酒はシャンパーニュ食後にはディジェスティフを食事の最初にシャンパーニュなどの泡ものを頼まれる方も多いかと思いますが、ただ単に食事の席が華やぐためだけでなく、発泡性のある炭酸水もそうですが、胃を活性化させてくれる効果があります。つまり、食欲を増進させてくれるので、食前酒にスパークリングワインを頼むことは、とても意味のあることでもあります。食後酒をフランス語で「ディジェスティフ」と言うのですが、アルコール度の高いブランデーやカクテルを飲むことで、胃液の分泌が促進され、消化を助けてくれます。さらに「寝酒」の意味も兼ねています。食後にもうお腹いっぱいになったときに、その日召し上がったお食事を締める意味で、甘いデザートを食べて、ディジェスティフ(アルコール度の高いドリンク)を飲むと胃が落ち着き、満足感を得てよく眠れたりします。──最近のシャンパーニュのトレンドを教えてください。シャンパーニュの甘辛度にもいろいろあり、超辛口から辛口、やや甘口、甘口、極甘口まであり、「セック」「ドゥミセック」と呼ばれる甘口タイプのものもあります。シャンパーニュの甘味の基本は「ドザージュ」と言って、1リットル中にリザーブ・ワインとショ糖が混ざった液体「リキュール・デクスペディション(門出のリキュール)」をどれだけ加えるかになります。 数年程前から、顧客の嗜好のライト化、自然志向に合わせて、「ブリュット・ナチュール」「ドザージュ・ゼロ」と言われるものが出始めました。これは果汁に対する糖度が、1リットル中に0~3g以内になります。健康志向の方が普段から嗜んだり、お食事に寄り添うことから、お寿司屋さんなどの繊細な和食にも好まれる傾向があります。 【PROFILE】杉浦康祐さん株式会社Dreamtime Partners代表取締役社長/J.S.A.認定ソムリエ広尾にある大人の隠れ家的存在の蕎麦割烹「こうもと」、恵比寿のジャパニーズイタリアン「ai’s(アイズ)」を経営。あらゆるジャンルの食を知り尽くしたスペシャリスト。こうもと https://koumoto.dreamtimepartners.com/ai’s https://ais.dreamtimepartners.com/text:MIYUKI NEZASA