西村紗江子さん・55歳
Mrs&Mr of the Yearオーガナイザー
厳しい芸能界で、多くの人気タレント&モデルを世に輩出し、敏腕プロデューサーとして一目置かれる存在の西村紗江子さん。その規格外の人間力で大手芸能事務所を渡り歩き、独立後は史上初JAPAN BRANDの世界大会「Mrs&Mr of the Year」をオーガナイズ。
タレント顔負けの華やかな雰囲気を放つ西村さん。
日系エアラインの国際線CAとして7年半、世界の空をフライトしたのち、未知のエンターテインメントの世界に飛び込む。
「そのとき29歳。本当にチャレンジグでしたね。未知の世界でしたし、想像以上に厳しいのが芸能界。ただ、国内外でたくさんのエンターテインメントに触れてきて、エンターテイメントの持つ力ってすごいなって思ったんですよ。言葉じゃなくて、人々の心を動かせるのがエンタメの魅力。私は結婚よりも、仕事で自分の人生を作っていきたいと決めていたんです。エンタメの世界で一生働いていきたいなと思ってきましたし、それは今も変わりません」
仕事をイチから教えてもらうこともなく、持ち前のバイタリティで、朝から晩まで原宿の竹下通りでスカウトを決行。全て自分で資料を作り、営業も精力的にこなしてきた。
必死にアポを取り、熱意を込めて話しても、相手にされない。振り返ると資料をポンとそのままゴミ箱に捨てられることも日常茶飯事。
「そこで強くなったんです。だけどそのときに出会って、一生懸命一緒に仕事をしてきた人たちが、今ちょっと出世したりして、私が独立したときに助けてくれたんです。そのときに感じたのは、人生で無駄なことってないなって。辛い思いや努力は、必ず自分に返ってくる。人って自分のやったことが自分に返ってくるというのを学んだんです」
厳しい半面、一発ヒットを出せばもう、チヤホヤされるのが芸能界。
今でも大活躍をしているタレントやモデルをブレイクさせ、西村さんは大手芸能事務所の幹部まで昇りつめる。
「ある程度、芸能界で結果を残せたかなと思い、独立しました。今まではタレントやモデルのマネージメントをしてきましたが、音楽にもすごい興味があったので、果敢にチャレンジ。4組ぐらい売り出して、インディーズのオリコンチャートで9位までいったんですよ。さぁここからだ!というときに、世界がコロナに。一切ライブもできず、自宅にはCD、ライブで使う予定だった制作物の山。そして送られてくる請求書。本当に地獄を見たというか、人生のどん底を体験しましたね」
そんなとき、西村さんはある事実に出合い、もう一度奮起する。
昔から文句ばかり言っている状況が、大嫌いだった。
絶対に主体的にいろんなことをやっていきたいという、持ち前のパッションは消えてはいなかった。
「疫病って100年に1回起こるんですって。天然痘とかスペイン風邪とか、本当に100年に1回のペースを起こっているんですよね。その100年に1回のときっていうのは、人類にとって、とても困難なときではあるけれども、大きく価値観が変わるときでもあると。私は仕事の人間だから、新しい価値観を作って、その価値観を次の世代に繋いでいきたい。そうして立ち上げたのが『Mrs&Mr of the Year』という、JAPAN BRANDのコンテストなんです」
日本女性はいつもわきまえてないといけない。目立たず、派手なことはせず。
そんな風潮が令和になっても残っていることに、常に違和感があった。
オーガナイザーの他にも、講演に登壇することも。
ドレスには女性を綺麗に見せる魔法があると、西村さんは語る。
「女性でも誰でも、適材適所で自分の能力を発揮できる、そんな価値観を、この日本で作っていきたいと思ったんです。それは私達の時代では無理だったけれど、次の世代に渡していきたい。それをエンタメでやろうと思ったんです」
西村さんには、しんどいときに恩人からもらった大切な言葉がある。
「本物じゃないと絶対に残らない。本物のダイヤモンドは、宇宙から投げ落としても傷つかないのよ。でもそれがイミテーションだったら、2階から投げても割れるでしょう?だから本物でないと駄目よ」
植松晃士さんからもらった大切な言葉は、いつも西村さんの心の励みになっている。
自分自身にリミットを作らず、
エイジレスにボーダーレスにジェンダーレスに
チャレンジをし続ける。
愛と感謝にあふれたかっこいい女性になろう、日本の女性
コンテストの出場者だけでなく、プロデューサーとして地方統括プロデューサーの育成にも力を入れている。専業主婦からプロデューサーになったひとも。
「これはレポート用紙30ページぐらいに理念をバーって書いたあとに最後に残った言葉が、今のミセスオブザイヤーの理念なんです」
地方大会は
1年目は9大会、
2年目は、34大会
そして3年目には47都道府県で実施するまでに拡大。
西村さんには、忘れられないエピソードある。
「2年目のときに99歳の女性が、エントリーしてくれたんです。ヒールで歩く姿も素敵でしたが、その人のスピーチがプロデューサーとして、もう300点満点だったんです!“日本の女性、これ以上遠慮するのはもうやめましょう!”と叫んだんですよ。私、すごく感動して、それがテレビのニュースで一気に流れて、コンテストが一気に盛り上がっていったんです。神様っているなと思った瞬間でもありました」
人は希望のあるところ
わくわくするところ
美しいものに集まる
コンテスト史上初・日本で開催するJAPAN BRANDの世界大会。
西村さんがオーガナイズする、人生にストーリーを持つ女性たちの生き方の祭典は、日本だけにとどまらず、韓国、台湾にまで広がっている。
「長年エンタメの仕事をずっと携わってきて、確信していることがあるんです。やっぱり人って、希望のあるところ、わくわくするところ、美しいものに集まるんですよね。逆に言うとその状況を作れば、人は集まる。私の生き方は、子供を産む人生ではなかったし、そういう幸せという意味では違う人生だったかもしれないけれども、たくさんの人の心を動かすことが生きがい。だから今、自分の人生にすごく納得していますね」
「みなさん、勇気を持って一歩を踏み出すまでが時間がかかるんですよね。最も美しいと思う姿は、完成された静的の姿ではなく、勇気を持って一歩を踏み出す行動する方の“行動の美”です」
2021年から開催しているミスター・オブ・ザ・イヤー。
女性だけが頑張っても、世の中はよくならない。
「最強最高のパートナーシップ、一緒にいればもっと強くなれる」がミスターの理念。輝く女性を心から称賛して、社会で活躍する女性を全力でサポートする男性がかっこいいというコンセプト。
Mrs&Mr of the year 2024 地方大会エントリー募集中
https://mrs-of-the-year.com/
西村さんのHP
https://anjoue.net/saeko-nishimura/
text:MIYUKI NEZASA
FEATURE