当時、絶大な支持を得ていたファッション誌『JJ』に10代でモデルとしてデビュー。以来、常に第一線で活躍している畑野ひろ子さん。妊娠をきっかけにフラワーレッスンを体験し、本格的にお花の勉強をスタート。現在はフラワーレッスン、企業のイベントの装花を手掛けるなどフラワーライフスタイルプロデューサーとしても活躍。連載2回目は「サステナブルフラワー」の魅力について伺いました。
──洗練された中にも、温かみのある雰囲気が素敵な畑野さんのフラワーアレンジメント。
そのこだわりを教えてください。
季節やファッションの流行のエッセンスを
取り入れたフラワーアレンジメントに
畑野さんのこだわりが詰まったレッスンで使う花材。
やはり花材選びが重要になってくるのかなと思います。例えば一つメインのお花を決めたときに、それに合わせる副材の花材やグリーンの使い方で、全体のメージはガラッと変わります。レッスンでは花材と花器とのバランスの他にも、季節やファッションの流行のエッセンスを取り入れて、リボンを使ったアレンジを施したり、ファッションに通じたお花のアレンジメントを皆さんに楽しんでいただけるようにしています。
せっかく貴重な時間を割いてレッスンに来ていただいているので、お花はもちろん、花器もその場限りで終わるものを、できるだけ使わないようにしています。その花器をまた1年後に見たときに、去年の今頃は、あのレッスンでこういうお花を作ったなと、ひとつ花器が残っているだけで、記憶や思い出が蘇りますよね。レッスンで一度使った花器を、皆さんがその後も自分なりに愛用していただけたら嬉しいですね。お花を長く楽しんでもらうのが、主宰している「WILL GARDEN」のコンセプトでもあるんです。
──お花を一瞬だけではなく、長く楽しむスタイルも提案したい。今、畑野さんが力を注いでいるのがサステナブルな「ネイティブフラワー」だそう。
お花はもちろん綺麗ですけど、一番悲しいのは、つぼみから開花して、必ず消えていくものという概念がありますよね。それが生花の良さであり、魅力でもあると思うのですが、思い出や記憶を別の形で継続していけたら素敵だなという思いから、力を注いているのが「ネイティブフラワー」です。
生花からドライになってもほぼ変わらず、また色あせてく時間の流れも、まるでアートのような形で楽しめるという、生花とは違った魅力があります。長く楽しめるお花として推進しているのですが、ドライブーケのオーダーも多く、今の時代にも合っているのだと思います。
経年変化を楽しめる
新しい美の価値観
オーダーも多い、ネイティブフラワーのドライブーケ・アレンジメント。
ドライブーケのいいところは、お祝いやお誕生日にブーケを友達に渡しても、長くても1週間ぐらいしかもたないところを、ほぼ形態を変えずにそのままずっと飾っておける点ですね。仮に、どこかに遠出しているときでも、お水をすぐに入れなきゃいけないとかそういう心配がないんです。一時期は生花よりも、ドライブーケのオーダーが多かったときもあるほど人気です。
何ヶ月、半年、何年ってなってくると、色褪せていきますが、褪せていく感じもまたお洒落。生花とはまた違う、何か魅力的な部分がネイティブフラワーには確かにありますね。以前はドライフラワーというと、カスミソウやバラのイメージが強かったかもしれませんが最近は1本1本見ても分かると思うのですが、全部が主役になれるようなお花がすごく多くんです。数年前からいろいろな雑貨屋さんでネイティブフラワーを見かけることが多くなりましたよね。
お花の世界が広がる
ネイティブフラワー
中央の大きな花はキンプロ。
お花の世界も幅が広がってきていて、嬉しいですよね。生花だと難しいけれど、ネイティブフラワーは、一緒に長く時間を過ごせるのが魅力。自宅のリビングにも、もう5年ぐらい飾ってあるものもあります。時間と共に、少しずつと茶色く色褪せていく様にも美しさを感じます。
──サステナブルなお花の楽しみ方で、もうひとつ「WILL GARDEN」で人気を集めているアイテムがサシェ。
梳かしたロウに、ドライフラワーをアレンジして作った香りのあるものですね。
アロマオイルを入れた「香るサシェ」です。このレッスンもすごく人気があります。そのときにしかできない、オンリーワンのサシェを製作しています。
大人気の
シャクヤクのサシェ
顔料を使ったニュアンスカラーのロウも魅力。
ドライフラワーにも、時期的なものがあります。(写真上)これはシャクヤクなんですけどお花のインパクトが大きく、とても人気がありました。今まではドライフラワーになるお花というと、想像できるのがカスミソウやバラだったかと思うのですが、今はいろんなお花が、ドライフラワーになっているんです。シャクヤクもそうですし、私が好きなお花は「クリスマスローズ」。これ、ドライになるんだ!というお花がドライになっているので、新しい発見があります。
まるでガーデンの世界を
再現したかのようなライブ感
フラワーアレンジメントでも「メカニカルフォーカルポイント」を意識するのですが、点から広がっていくような形に作ると、自然ないいアレンジメントが作れるんです。生きているお花って、種から芽が出て、そこから茎が出てお花が広がっていきますよね。どんなに広がっていく花でも、必ずその中心というものがあるんです。そのイメージを、サシェでも作りたいなと思い、小さなサシェの世界でも再現してみました。
メインのお花の他にも、何種類かのお花で構成して、まるで生きているかのような世界観を表現したのが、「WILL GARDEN」オリジナルのサシェ。
同じものは、世界でひとつも存在しません。
※次回は、畑野さんが手掛ける装花、花とファッションの関係についてフカボリします。
【PROFILE】
畑野ひろ子/モデル、フラワーライフスタイルプロデューサーとして活躍。自身が運営する「WILL GARDEN」では、お花の定期サービス、アレンジレッスンなどを通した“花育”で心が豊かになる活動をしている。
Instagram:@hiroko_hatano_
Instagram:@willgarden_official
text:MIYUKI NEZASA