アジアのみならず、世界でも話題となっている韓流ドラマ。その主役を演じる俳優たちはファンミーティングを開催すれば1万人規模のファンが詰めかけるなど、まるでアイドル歌手さながらの人気となっています。そんな俳優たちが出演するドラマや映画。いろいろありすぎて何から観ていいの? と迷ってしまう方も多いはず。そこでSENLY★韓流サランヘヨでは、旬の俳優とともに、今観るべきおすすめ作品とその見どころについてもご紹介していきます。第16回に紹介するのは、イ・チェミンです。

Netflixシリーズ「暴君のシェフ」独占配信中
ひとつの作品が俳優をスターダムに押し上げる――まさにそれを体現したのがイ・チェミンです。2025年8月から韓国tvNで放送され、日本ではNetflixで同時配信されたファンタジー時代劇『暴君のシェフ』。主演の朝鮮王朝の王イ・ホン役を務めたイ・チェミンですが、なんとこの大役を射止めたのは、撮影開始のわずか1か月前。別の俳優の降板により急遽その座をつかんだのです。主演女優が演技ドルで知られる少女時代のイム・ユナで、制作発表の時から話題を集めていた注目ドラマだっただけに、そのプレッシャーはかなりのものだったはず。それでも彼は短期間で乗馬、書道、弓術を猛特訓。放送が始まると、「本当に代役だったの?」と思うほど、王イ・ホンにふさわしい凛々しさと重厚感を放ちます。王としての威厳ある低音ボイスも、実は4年前からボイストレーニングで磨き続けていたと聞けば、チャンスを掴み取る運だけでなく、日々の努力があったからこその名演技で、高視聴率の立役者となったのも納得です。そんな『暴君のシェフ』の見どころを紐解く前に、韓国でも話題沸騰中のイ・チェミンの経歴についてご紹介しましょう。
2000年生まれ、現在25歳のイ・チェミンは、身長190cmというモデル級のスタイルに、知的で精悍な眼差しが印象的です。俳優を志し、難関の国立芸術大学・韓国芸術総合学校へ進学し、2021年にデビュー。その後も『生まれ変わってもよろしく』や『イルタ・スキャンダル~恋は特訓コースで~』で脇役ながらも、強い存在感で注目を集めます。2024年のNetflixドラマ『ヒエラルキー』でチュシン高校に現れる謎の転校生カン・ハ役で初主演を果たすと一気に知名度が上昇。続く2025年春のドラマ『バニーとお兄さんたち』でも主役に名を連ねるなど、次世代スターとしての実力を重ねてきたイ・チェミン。現在、彼が所属する芸能事務所「Varo Entertainment(ヴァロ・エンターテイメント)」には、『ソンジェ背負って走れ』という、これまた一本のドラマで一躍トップスターの仲間入りを果たしたビョン・ウソクも在籍。190㎝の高身長に抜群の歌唱力という共通点のある2人。次の作品オファーも殺到している2大スターを抱えるヴァロ・エンターテイメントの審美眼にも目を見張ります。

Netflixシリーズ「暴君のシェフ」独占配信中
『暴君のシェフ』は、フランス最高料理大会で優勝し、ミシュラン三つ星レストランのヘッドシェフの座を手にしたヨン・ジヨン(イム・ユナ)が、帰国途中に不思議な事故に遭い、朝鮮王朝時代にタイムスリップすることからドラマが始まります。その時代こそが“絶対味覚”を持ち、「暴君」と呼ばれる王イ・ホン(イ・チェンミン)が君臨する朝鮮王朝時代の宮廷でした。なんとか生き残り、現代に戻りたいヨン・ジヨンは、宮廷の厨房・ 水剌間(スラッカン)に入り、宮廷料理に三ツ星シェフならではの技術と調理法を融合させながら、グルメな王の舌をうならせ、虜にしていきます。王イ・ホンは架空のキャラクターではありますが、冷酷非道な暴君として恐れられた朝鮮王朝第10代国王・燕山君(ヨンサングン)をモデルに描かれているので、王室の陰謀や権力闘争が渦巻く歴史背景も垣間見られ、スリリングさもたっぷり。そして、次々と披露される料理の美しさ、その料理をオーバーリアクションで食するイ・ホン(イ・チェンミン)の食べっぷりなども視聴者を釘付けにしました。
制作はヒットメーカーとして知られるスタジオドラゴン。歴史×ファンタジー×料理×ロマンスを絶妙に融合させ、映像美あふれるこの作品は、期待を裏切らない面白さです。果たしてヨン・ジヨンは現代に戻れるのか? そして王イ・ホンとのロマンスの行方は――? 見始めたら止まらない、没入感たっぷりのドラマです!
Profile
韓流ライター 橋本嘉美
「冬ソナ」時代から韓国ドラマを見始め、「私の名前はキムサムスン」でヒョンビンにドはまり。以来、イケメン俳優たちの成長を見続けて早20年ですが、これまでに見たドラマや映画、バラエティは数百本以上。韓国俳優たちのファンミフリークでもあるので、彼らの素顔などもご紹介していきます。
text:YOSHIMI HASHIMOTO
2025.12.03