五稜郭の桜が蕾を膨らませ、函館山からの風に春の匂いが混じる4月。異国情緒あふれる元町の坂道に、新たな歴史の1ページが刻まれました。かつて函館の発展を支えた豪商の美意識が息づく、国指定重要文化財「旧相馬家住宅」。その格式高い邸宅を「泊まれる文化財」として再生した、わずか3室のスモールラグジュアリーホテル「旧相馬家 Kazeno Heritage」が誕生しました。100年の時を超えて、かつての主人と同じ景色を眺める、そんな贅沢な春の滞在をご紹介します。
110余年の歴史が刻まれた重要文化財の深部、かつての当主が神棚を背にして客人を迎え入れていた「囲炉裏の間」が旅の始まりです。炭火の残り香が懐かしく漂う空間で、ソムリエが経営する農場で採れたバジルのハーブティーでお出迎え。地域で長く愛されてきた、五島軒の港町情緒あふれるホワイトチョコレートを添えて。道南の風土が育んだ恵みを愉しむことで、日常から非日常へと心を切り替えます。
日中の一般公開終了後、17時より主屋全体が宿泊者だけのプライベートな空間に。当主が賓客をもてなすためにつくったとされる主座敷で、ゆっくりとオリジナルドリンクを愉しむという特別な体験が叶います。
主屋のラウンジ体験では‟北海道 銘選ワイン”と称して、北の大地のテロワールを尊び、葡萄作りの匠が醸した珠玉のラインナップのほか、ホテルオリジナルの函館の情景を三つの色彩と味わいに映した3種のモクテルをバイオーダーで愉しめます。
また通常、一般の観覧客は立ち入ることのできない夕暮れ時の文化財。陽が落ち、明かりが灯ることで初めて姿を現す建築美を、スタッフの解説とともに紐解く特別ツアーが開催されます。普段は見ることのできない細部の意匠に込められた物語。時代を超えて受け継がれる職人の息吹を体感してください。
このホテルの滞在は、単なる宿泊ではなく、歴史的なまちなみと建造物を次世代へ繋ぐ‟継承への参加”そのものです。一つひとつが異なる表情を持つユニークな客室、この地にしかない景観。その稀少な価値を守り、再生の一翼を担われたことを記した「宿泊証明書」を用意。旅の記憶を、文化を未来へ託した‟継承の証”として、誇りともに持ち帰れます。
ホテルのコンセプトは「百年の美を、未来へつなぐ。函館・元町の頂に佇む、全3室のヘリテージホテル」とし、客室コンセプトには「Heritage Reimagined」。明治時代の建築技術の粋と函館の美的感覚が凝縮された「旧相馬家住宅」の世界観に現代の感性を重ね、時を超えるような客室空間を目指しています。函館独自の和洋折衷様式を尊重し、セレクト。明治と令和、110年の時を越えて調和する空間を創出し、文化財に「泊まる」という体験を、より豊かで特別な時間へと昇華させます。

国指定重要文化財である建造物の保存を最優先するため、ホテルには火気を使用する調理設備をあえて設けていません。そのため、夕食は、泊食分離のスタイルを採用し、函館の地で長く愛される名店で北の恵みを愉しんでください。
朝食は、相馬家住宅からの眺望と土地の食、函館を五感で愉しむ「ブレックファスト・バスケット」が届けられます。着替えやメイクを気にせず、プライベートな空間でゆっくりと過ごせます。
函館特有の和洋折衷な街並みに溶け込みながら、圧倒的な存在感を放つこのホテル。清々しい潮風を感じながら元町の坂道を散策し、夜は歴史ある建築の中で土地の記憶に浸る。文化をまとう特別な滞在を通じて、価値ある春の休日を叶えてみませんか。

旧相馬家 Kazeno Heritage
北海道函館市元町33−2
0120-210-289
text:KAZUMI KAWAKAMI
2026.05.31