友人や親しい人への手土産は、相手が食通であればあるほど、何を選んでいいか悩んでしまいますよね。そんなときにおすすめしたいのが、食べるのがもったいないような可愛さの和菓子。このお菓子を手掛けるのは、嘉永元年(1848年)から続く福島県会津の老舗和菓子店「長門屋」。絵画のような美しい羊羹は、シャンパンゼリーのような錦玉羹を小豆羊羹ではさみ、中心にある愛らしい鳥と月はレモン羊羹でつくられています。上にはクランベリーや国産の鬼クルミ、レーズンをトッピングしていて、紅茶やワインとも相性抜群の爽やかな味わいが魅力です。

そして、この羊羹が記憶に残るのは、切る場所ごとに絵柄が変わり、一切れごとにその変化までもが楽しめること。三日月で止まっていた鳥が、徐々に満月に向かって羽ばたき、景色も少しずつ夜の帳が下りていくビジュアルは、食べてしまうのがもったいないぐらいです。
2017年にグッドデザイン賞を受賞して以来、数々の賞を受賞しているこの羊羹は、羊羹ファンタジア Fly me to the moonが菓銘になっています。和菓子を世界中の人と分かち合いたいという願いから、フランク・シナトラが大ヒットさせた往年のジャズナンバー「Fly me to the moon」と名付けられたのです。 “私を月に連れていって”というその名前にぴったりの絵柄とともに、暮れ行く空色、変わりゆく山並みがジャズメロディーのような味わいとなる羊羹。和菓子ならではの遊び心を忍ばせた羊羹で、贈る人を笑顔にしてみませんか?

羊羹ファンタジア Fly Me to The Moon
500g ¥3,500(税込)
箱サイズ W9.5 × L14.5 × H6cm
会津長門屋
https://nagatoya.net/
text:YOSHIMI HASHIMOTO
2025.05.24