坂本龍一は、1978年『千のナイフ』でソロデビューし、同年、細野晴臣、高橋幸宏とともに「Yellow Magic Orchestra」を結成。1983年の散開後も国内外問わず多方面で活躍した、偉大な音楽家であり、アーティスト。今回の個展は、坂本が手がけた大型インスタレーション作品を包括的に紹介する、日本初にして最大規模の個展です。
坂本龍一+高谷史郎《LIFE–fluid, invisible, inaudible...》2007/2023 年「Ryuichi
Sakamoto | SOUND AND TIME」展示風景、成都木木美術館(人民公園館)、2023年
画像提供:成都木木美術館
坂本は50年以上に渡り、多彩な表現活動を通して、時代の先端を常に切りひらいてきました。90年代からはマルチメディアを駆使したライブパフォーマンスを展開し、さらに2000年代以降は、さまざまなアーティストとの協働を通して、音を展示空間に立体的に設置する試みを積極的に思考、実践しました。
坂本龍一+Zakkubalan《async–volume》2017年
「Ryuichi Sakamoto | SOUND AND TIME」展示風景、成都
木木美術館(人民公園館)、2023年
画像提供:成都木木美術館
今回の個展では、生前坂本が東京都現代美術館のために遺した展覧会構想を軸に、彼の創作活動における長年の関心事であった音と時間をテーマに、未発表の新作と、これまでの代表作からなる没入型・体感型サウンド・インスタレーション作品10点あまりを、美術館屋内外の空間にダイナミックに構成・展開します。
坂本龍一+高谷史郎《async–immersion 2023》2023年
「AMBIENT KYOTO 2023」展示風景、京都新聞ビル地下1階、2023年
Photo by Satoshi Nagare
坂本龍一+真鍋大度《Sensing Streams 2021–invisible, inaudible》2021年
「seeing sound, hearing time」展示風景、木木美術館(銭糧胡同館)、北京、2021年
画像提供:M WOODS photography team
坂本龍一の「音を視る、時を聴く」ことは、鑑賞者の目と耳を開きながら、心を揺さぶり、従来の音楽鑑賞や美術鑑賞とは異なる体験を生み出します。坂本が追求し続けた「音を空間に設置する」という芸術的挑戦と、「時間とは何か」という深い問いかけは、時代や空間を超えて、私たちに新たな視座をもたらし、創造と体験の地平を開き続けてくれることでしょう。
中谷芙二子《ロンドンフォグ》霧パフォーマンス #03779、2017年「BMW Tate Live Exhibition: Ten Days Six Nights」展示風景、テート・モダン、 ロンドン、英国 コラボレーション:田中泯(ダンス)、高谷史郎(照明)、坂本龍一(音楽) 撮影:越田乃梨子
常に時代の先端を切り開いてきた天才的音楽家・アーティストである坂本龍一。アートへの熱い想いを抱きつつも2023年に逝去。今回の個展は、展示される作品を通して、坂本の先駆的・実験的な創作活動の軌跡をたどり、この類稀なアーティストの新しい一面を広く知ることができる貴重な機会となることでしょう。
「坂本龍一|音を視る 時を聴く」
会期:2024年12月21日(土)〜2025年3月30日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F・B2F ほか
住所:東京都江東区三好4-1-1
開館時間:10:00〜18:00(入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日〈1月13日(月・祝)、2月24日(月・振)は開館〉、12月28日(土)〜1月1日(水・祝)、1月14日(火)、2月25日(火)
観覧料:一般¥2,400、大学生・専門学校生・65歳以上¥1,700、中学・高校生¥960、小学生以下 無料
050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/RS/
text:KAZUMI KAWAKAMI