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これは飲むべきシャンパーニュVol.5 シャンパーニュ アンリ・ジロー
アンリ・ジローを知るにはピノ・ノワールの個性に注目
シャンパンを作るには3つのブドウ品種、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ
が要と言われています。たったこれら3品種で作る、とてもシンプルなものなのに同じ味に出逢うことはありません。メゾンが考えるブドウの個性が全く違うから、でしょうか。収穫のタイミング、熟成のさせ方、シャンパンを作るうえでどのメゾンも想いが異なります。本当に不思議ですね。同じブドウなのに。
今回ご紹介するアンリ・ジローは素晴らしいピノ・ノワールのクオリティを輩出するアイ村に位置します。創業は1625年、現在は13代目が取り仕切る家族経営のメゾンです。アイ村で生産されているピノ・ノワールは様々なメゾンの言葉を借りるならば宝ものに匹敵するブドウ、と言われています。その宝ものをふんだんに扱い、特性を生かして仕上げてくるのはアンリ・ジローしかできないテクニックです。素晴らしいアイテムを輩出できるのはピノ・ノワールのポテンシャルだけではなくメゾンが考えるブドウの生育・熟成・醸造技術、そして環境、これらすべてを意識したシャンパン作りをされているからこそ、と思います。
この[GIRAUD]ロゴがアイコンです
メゾンから少し離れた場所にはアルゴンヌの森という伝統的な樽産地があります。アンリ・ジローはその森から成長具合を見極めた樫の樹を伐採、オーク樽をオーダーメイドで造っているのです。広くつながるシャンパーニュ地方の大地、と思うとブドウのテロワール(土地)、熟成させる樽に使用する樫の樹の森、そしてアンリ・ジローのあるアイ村、どれも深いところでつながっているのだな、と感じます。言うまでもありませんが、自然環境、生態系を崩すことはせず、いかに今の素晴らしい世界を後世につなげていけるか、その概念もしっかり根付いたメゾンです。
ここまで成長した樫の樹を見極めます
シャンパーニュ アンリ・ジローの基本は絶対飲むべきアイテム
アンリ・ジローの個性、それはピノ・ノワールの上質さにつながると思います。そのピノ・ノワールを使用したノン・ヴィンテージがこちら。シャンパーニュ アンリ・ジロー▽エスプリ・ナチュールG 。ノン・ヴィンテージですのでさまざまな年のブドウをブレンドして仕上げています。ドザージュは4-5g前後。ブドウが持つ本来の甘さを尊重しバランスよく仕上げた1本です。
シャンパーニュ アンリ・ジロー▽エスプリ・ナチュールG
問い合わせ:アンリ・ジロー ジャパン
まず口に含んだ瞬間広がるのは濃厚なブドウを思わせる果実のボリューム。本当に肉厚でジューシーなんだな、と感じさせてくれます。軽やかな甘さはこのジューシーさからくるものと思います。本当にエレガントできれいなニュアンスです。
余韻の長さも素晴らしく、引き締まったミネラル感も感じられます。このエスプリ・ナチュールGはピノ・ノワール80%、シャルドネ20%のブレンドタイプです。味わいを振り返るとシャルドネの持つ酸味がミネラル感を生み出しているな、と感じます。ピノ・ノワールのボリュームとシャルドネのミネラル感が素晴らしいブレンド力でまとまっているという印象です。
このシャンパンは温度が上がっても十分楽しめます。その際はブルゴーニュタイプのグラスで召し上がってみてください。果実の芳醇な香りもしっかり楽しめると思います。
ぜひお試しください。
藤﨑 聡子
ワインジャーナリスト
ワイン専門誌「ワイン王国」を立ち上げ編集・企画・広告業務兼任する。フランス・シャンパーニュ騎士団より2009年ジャーナリスト最年少でオフィシエ・ド・シャンパーニュを叙任。現在はワイン、ウィスキー、食、旅などライフスタイルをテーマに幅広く執筆中。またスーパーバイザーとして韓国情報サイト・PIVImを監修。
PIVIm:https://pivim.jp/
text:SATOKO FUJISAKI
2025.02.04