シャンパンを作るうえで必要な熟成。これは酸味がしっかりしていないとなり得ない、と言われています。熟成は年月をかけて酸味が穏やかになり、シャンパンの味わいに深みを増していくからです。この酸味、酸っぱい、と思われる方もいらっしゃると思います。でも酸っぱさがシャンパンにおける熟成に必要不可欠です。これが穏やかになっていると感じる時はきれいな熟成をしているのだな、と目安にもなります。酸っぱい、=若い、と思って良いと思います。このシャンパン、酸っぱいね、という言い方よりこのシャンパン、若いね、と表現したほうがエレガントに聞こえると思います☆
イエローゴールドに輝く色合いが魅力的
この酸味と熟成はシャルドネの存在が重要です。どのようにシャルドネを育てているのか、どのような畑なのか、熟成の見極めはどうしているのかetc...シャルドネだけでシャンパンの味わいが大きく変わる、と言っても過言ではありません。シャンパーニュ アヤラはメゾンの創業以来、一貫してこのシャルドネの研究を続けています。これは2000年以降、さらに進化していて他のブドウ品種・ピノ・ノワールとピノ・ムニエ、合わせて3種類を70の畑に分け、それぞれの畑ごとにブドウの生育と熟成を細かく分析しているのです。
収穫直前のシャルドネ
シャンパーニュ アヤラのブラン・ド・ブランはヴィンテージのみのアイテム
ブラン・ド・ブランはシャルドネ100%のシャンパンを意味します。シャンパーニュ アヤラはこのシャルドネ100%をヴィンテージ・シャンパンのみ生産しているのです。ヴィンテージ・シャンパンとはブドウの生育が完璧な時のみ生産されるもの。毎年作ることができるわけではありません。年によって気候も違う、生育の状況も変わる。熟成するうえで酸味がどのように変化するのか。これはヴィンテージの名をつけても良い。
そう判断した時にヴィンテージ・シャンパンは誕生します。今回ご紹介するシャンパーニュ アヤラ ル・ブラン・ド・ブランは2018年ヴィンテージです。これが最新ヴィンテージになります。瓶内熟成6年を得てお目見えしました。ちなみにヴィンテージ・シャンパンはメゾンでの熟成を3年以上行う、という法律があります。その3年からさらに3年、自分たちが求めるブラン・ド・ブランの味わいになった、ということでようやく味わえるようになったのです。
これはシャルドネのポテンシャルが本当に素晴らしい。一口、口に含むとブドウそのものの香りがふわっと広がります。甘さもあり、濃厚さもあり、シトラス系のフルーツの香りもあり、非常にフレッシュさも感じられます。このフレッシュさが繊細でシルキーな味わいへ誘ってくれるのです。そして余韻も長く、そこにシャルドネが熟成した深みを感じさせてくれます。最初は冷やしめ、6℃くらいからスタートしてみてください。
1杯目はキリっとした印象、2杯目は温度が少し上がるので熟成した芳醇な香り、温度が少し違うだけこんなにも表情が変わるのか、と感じて頂けると思います。お食事、すべてを通してこのシャンパンで楽しめる、そのような器用さも持ち合わせているシャンパーニュ アヤラ ル・ブラン・ド・ブラン2018、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
シャンパーニュ アヤラ ル・ブラン・ド・ブラン2018
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藤﨑 聡子
ワインジャーナリスト
ワイン専門誌「ワイン王国」を立ち上げ編集・企画・広告業務兼任する。フランス・シャンパーニュ騎士団より2009年ジャーナリスト最年少でオフィシエ・ド・シャンパーニュを叙任。現在はワイン、ウィスキー、食、旅などライフスタイルをテーマに幅広く執筆中。またスーパーバイザーとして韓国情報サイト・PIVImを監修。
PIVIm:https://pivim.jp/
text:SATOKO FUJISAKI