LIFESTYLE
「永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル」でアール・デコな時間を過ごして

私たちの心を躍らせてくれるハイジュエリー。今回ご紹介するのは2025年9月27日から2026年1月18日まで開催される「永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル — ハイジュエリーが語るアール・デコ」。1925年に開催された「現代装飾美術・産業美術国際博覧会(通称 アール・デコ博覧会)」から100周年を迎えることを記念して行われる展覧会です。4つのチャプターで構成され、約250点にのぼるジュエリーや時計、工芸品に加え、メゾンのアーカイブ資料約60点も展示され、見ごたえもたっぷり!
第1章の見どころは、アール・デコ博覧会の宝飾部門にてグランプリを受賞した《絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット》(1924年)。アール・デコ期において象徴的なモチーフのバラをテーマにしたこのブレスレットをはじめ、東洋のイメージに着想を得た、色彩豊かな宝石があしらわれた《ロングネックレス》など、自然のモチーフを幾何学的に様式化するアール・デコの美学が息づく作品たちが披露されます。
絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット 1924年 プラチナ、エメラルド、ルビー、オニキス、イエローダイヤモンド、ダイヤモンド ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels
第2章では、ダイヤモンドやプラチナが巧みにあしらわれたホワイトジュエリーを中心に、1920年代以降ヴァン クリーフ&アーぺルが追い求めた立体感のある新たな造形的展開に注目。《コラレット》(1929年)は、ネックラインに壮麗なダイヤモンドがあしらわれており、鮮やかなエメラルドは総計165カラットにもおよぶ。1935年のブリュッセル万国博覧会ではフランス館に展示され、大きな注目を集めた逸品です。
コラレット 1929年 プラチナ、エメラルド、ダイヤモンド エジプト女王ファイーザ旧蔵 ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels
第3章では、社会の変化に応じてヴァン クリーフ&アーぺルが制作した抽象的かつ幾何学的造形と機能性を備えた、モダニズムの魅力を伝える多様な作品が紹介されています。1933年に特許を取得した「ミノディエール」とは、鏡をはじめ、女性が外出時に必要となる口紅、パウダーコンパクト、ライター、ノートなどを収めるケースのこと。パーティバッグにしのばせたり、そのままクラッチとして持つこともできました。洗練された美しいデザインと高い機能性を追求したミノディエールは、ヴァンクリーフ&アーペルを象徴する作品の一つです。
カメリア ミノディエール 1938年 イエローゴールド、ミステリーセット ルビー 、ルビー ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels
締めくくりとなる第4章では、メゾンに現代まで継承され続けている「サヴォアフェール(匠の技)」にフォーカス。草花や動物をモチーフにしたジュエリーを、5つの庭園をめぐるように楽しめます。なかでも、菊の花をかたどった《クリサンセマム クリップ》(1937年)は必見。1933年に特許を取得した「ミステリーセット」という独自の技法で、石を留める爪を表に出さず、宝石ならではの滑らかな輝きを引き出しています。
クリサンセマム クリップ 1937年 プラチナ、イエローゴールド、ミステリーセット ルビー、ダイヤモンド ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels
展覧会の舞台は、アール・デコの意匠を色濃く残す旧朝香宮邸(現・東京都庭園美術館)。現在も竣工時の建築意匠がほぼ完全な形で残っており、当時のアール・デコの時代空間そのものを体感できる希少な建築です。アール・デコの世界観に浸りながら優雅な時間を過ごしてみては。
東京都庭園美術館 本館 正面外観/画像提供:東京都庭園美術館
日時指定予約制なのでお早めに予約するのがおすすめです。
___________________________
永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル —— ハイジュエリーが語るアール・デコ
会期:2025年9月27日(土) - 2026年1月18日(日)
会場:東京都庭園美術館(本館+新館)
東京都港区白金台5-21-9
ハローダイヤル:050-5541-8600
休館日:毎週月曜日、年末年始(12月28日 – 1月4日)
※10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)、24日(月・祝)、1月12日(月・祝)は開館
※10月14日(火)、11月4日(火)、11月25日(火)、1月13日(火)は休館
開館時間:10:00 - 18:00(入館は閉館の30分前まで)
※11月21日(金)、22日(土)、28日(金)、29日(土)、12月5日(金)、6日(土)は夜間開館のため20:00まで開館(入館は閉館の30分前まで)
観覧料:一般:¥1,400、大学生(専修・各種専門学校含む):¥1,120、高校生・65歳以上:¥700
※日時指定予約制です。事前にチケット購入を。
https://art.nikkei.com/timeless-art-deco/
text:UMI TSUKINO