形成外科での治療の研究がアップデートされて治療に活かされているのが美容医療。「心の健康は美しさから」というコンセプトで、人々が笑顔で過ごすためのお手伝いをしているという牧野医師が、私たちのキレイになりたい願望と、日々の悩みを一挙に解決してくれるビューティ塾がスタート♪今回は「季節の変わり目ケア」がテーマ。読者からのお悩みに応えて、自分でできるケアからクリニックでの治療まで幅広くご紹介します。
☆お悩み1
「暑さは少し和らいできたものの、今年は例年よりも肌の夏ダメージが大きいように感じます。秋になった今、自分でできる基本のスキンケアが知りたいです」
★Answer1
近年の秋はまだまだ暑いですが、夏に比べて空気はより乾燥しやすく、肌も乾燥しがちです。クリニックでも秋に入って「スキンケアに力を入れたい」という患者さんが増える傾向にあります。
まず、潤いツヤのある肌を維持するには、角質水分量を30%程度の適正水準に保つ必要があります。大きなポイントは、年齢があがるにつれ元々の皮脂分泌量は減少するため、秋に入ったら油分を含む保湿剤に切り替えていくこと。重めのテクスチャーが苦手な人は、さらっとした化粧水でたっぷり水分を補給したあとで、乳液で蓋をしてその水分を保持するやり方も良いと思います。
真夏と比べると日差しは和らいだものの、紫外線のひとつであるUVAの量は、実は季節に関係なく、あまり変化しません。このUVAは波長が長く、皮膚の深い真皮層まで到達するため、紫外線対策に手を抜いてしまうと小じわやたるみにダイレクトにつながってしまいます。覚えておいてほしいのは、UVA対策の指標はPAだということ。秋以降の日焼け止めについてはSPFは低くても、PAが+++程度のものを使用するのがおすすめです。
☆お悩み2
去年から肝斑が出てきて気になっています。肝斑に適したセルフケアはありますか。
また「シミ取りレーザーでは肝斑は消せない」と聞いたことがあるのですが本当ですか?
★Answer2
肝斑は主に30~50代の女性に多い、頬骨あたりなどにできるぼんやりとしたくすみです。紫外線、女性ホルモン、摩擦などさまざまな要因で悪化するため、シミ治療の中でも改善に期間がかかります。肝斑が全くないという人は少ないため悩んでいる女性は多いですが、基本的にはお化粧品のみで改善するのは難しいですね。真剣に改善したいと思うのであれば、クリニックでの治療がおすすめです。
「シミ取りレーザーでとるのは難しい」というのはその通りです。私自身はシミ治療にQスイッチルビーレーザーを使用していますが、このレーザーを含む一般的なシミ治療レーザーは、残念ながら肝斑には効果が期待できません。出力を抑えたレーザートーニングを肝斑治療におこなっている施設もあるようですが、治療適応がかなり限られる点や、回数と費用の観点から原則的にはおすすめしていません。
ご自身でできる対策の王道は、肝斑治療にエビデンスのある内服治療になります。私自身は、1日当たりトラネキサム酸1000mg、ビタミンC3,000mgの内服を2~4か月程度継続することをおすすめしています。ただし、内服の適応の有無や種類の選択が大切になるため、医師に相談して処方を受けることが必要です。それに加え、ハイドロキノンやビタミンCなどの外用薬や、ケミカルピーリングや導入療法などを組み合わせて、より継続的かつ効果的な肝斑対策をケースバイケースで検討する必要があります。
何らかの事情で美容クリニックを受診できない場合は、紫外線や肌への摩擦を避けるスキンケアを心がけることで、肝斑を事前に予防したり、悪化させないような対策から始めるのがよいでしょう。
日本形成外科学会専門医
日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
日本乳癌学会 正会員
JSKINクリニック代表 形成外科専門医
慶應義塾大学医学部 形成外科 助教
牧野 潤 / Jun Makino, MD.
2015年3月 慶應義塾大学医学部卒業
(在学中にシンガポール国立大学医学部留学)
2015年-2017年 株式会社ボストンコンサルティンググループ勤務
2017年-2019年 都内総合病院にて初期臨床研修修了
2019年4月 慶應義塾大学医学部 形成外科教室入局
慶應義塾大学病院形成外科及び医局関連病院(埼玉医科大学総合医療センター形成外科・美容外科、太田記念病院形成外科など)にて勤務
2023年4月より 慶應義塾大学医学部 形成外科 助教(日本形成外科学会専門医)
2024年6月 慶應義塾大学病院美容医療外来 立ち上げ
現在に至る
JSKINクリニック
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https://jskinclinic.com/
text:AYAKO TAKAHASHI