SKIN REJUVENATION
ミスター慶応医学部 Dr.牧野のビューティ塾 Vol.9 黒ずみ・開き、気になる夏の毛穴ケア

毎回、読者の悩みに対して「すぐに始められる実用的なアドバイスをしてくれる」と人気のこの連載。今回は毛穴のケアについての質問に答えてもらいます。
Q
加齢とともに肌がたるんできたせいか、以前よりも毛穴が開き、特に鼻の毛穴が目立ちます。今年もとても暑い日が続き、すぐに汗をかくためメイクをしても隠しきれず、悩んでいます。毛穴ケアについてアドバイスをもらえますか? あと、毛穴の開きに効果的な治療や施術があればそれも教えて欲しいです。
A
毛穴について悩む患者さんはとても多いです。特に夏場は汗や皮脂分泌が増えるため、毛穴がさらに開きやすく、メイクでも隠しきれないことがあります。今回は医学的な視点から、日常でできる毛穴ケアの具体的なポイントを詳しくご紹介します。
まず、毛穴が目立つ主な原因は大きく分けて3つあります。
●加齢によるたるみ
年齢を重ねると、肌内部のコラーゲンやエラスチンといった弾力成分が減少し、肌のハリや弾力が低下します。その結果、毛穴が下方向に引っ張られ、しずく型や縦長に広がる「たるみ毛穴」が目立つようになります。特に鼻は皮脂腺が多いため、もともと毛穴が大きくなりやすい部位です。
●皮脂の過剰分泌・汗
鼻は顔の中でも皮脂腺が発達しているため、皮脂分泌が活発です。夏場は気温や湿度の上昇により、さらに皮脂や汗が増え、毛穴が開きやすくなります。皮脂や汗が毛穴に詰まると、毛穴がさらに広がって見えたり、黒ずみの原因にもなります。
●乾燥や紫外線の影響
意外かもしれませんが、乾燥も毛穴の開きを悪化させる要因です。肌が乾燥すると、うるおいを補おうと皮脂分泌が増え、毛穴が開きやすくなります。また、紫外線は肌のコラーゲンを破壊し、ハリや弾力を低下させるため、たるみ毛穴の進行を助長します。
そして毛穴ケアには正しいクレンジング・洗顔が重要です。
毛穴ケアの基本は「汚れをしっかり落とすこと」と思われがちですが、実は“やさしく洗う”ことが美しい毛穴への第一歩です。たとえば、毎日ゴシゴシとこすって洗顔していると、肌の表面を覆う“バリア機能”が傷つき、乾燥や炎症を招きます。バリア機能が壊れると、肌は自分を守ろうと皮脂を余計に分泌し、その結果、毛穴がさらに目立つという悪循環に陥ってしまいます。
ちょっとイメージしてみてください。高級なシルクのスカーフをゴシゴシ洗うと、繊維が傷んでヨレヨレになってしまいますよね。肌も同じで、やさしく泡で包むように洗うことで、繊細な構造を守りながら汚れだけを落とすことができます。また、洗顔後に肌がつっぱる・ピリつく感覚がある場合は、洗いすぎのサイン。つっぱりを感じない、しっとりとした洗い上がりを目指しましょう。洗顔前にホットタオルを使うと肌がほんのり温まり、毛穴がふわっと開きます。これにより、毛穴の奥の汚れや皮脂が無理なく落ちやすくなり、ゴシゴシこする必要がなくなります。“やさしい洗顔”を1週間続けるだけで「夕方のテカリや毛穴の黒ずみが減った」という実感を持つ方も少なくありません。
さらに毛穴には徹底した保湿ケアが必要です。
「毛穴が気になるのに保湿?」と疑問に思う方も多いですが、実は保湿こそが毛穴ケアの“隠れた主役”です。肌は乾燥すると、自分を守ろうとして皮脂を余計に分泌します。これが毛穴の開きや詰まり、黒ずみの原因に。例えるなら、乾いた土に水をかけると一気に吸い込むように、乾燥した肌は化粧水や美容液の成分をぐんぐん吸収しますが、同時に水分の蒸発も早くなります。そのため、化粧水でたっぷり水分を与えた後は、乳液やクリームで“ふた”をしてあげることがとても大切です。実際に、保湿を徹底した1週間後、「毛穴のまわりのファンデーションのヨレが減った」「肌がなめらかになって化粧ノリが良くなった」と感じる方が多いです。コットンパックやミスト化粧水は、特に夏場やエアコンの効いた室内で乾燥しがちな時におすすめ。肌のうるおいをこまめに補うことで、毛穴が目立ちにくくなります。
正しい洗顔と保湿は、どちらも毎日の積み重ねが大切です。「当たり前」のようでいて、実は毛穴の目立ちやすさに大きく影響する“基礎の基礎”。ぜひ一度、ご自身の洗顔や保湿方法を見直してみてください。小さな変化の積み重ねが、毛穴レスな肌への近道です。
もし、セルフケアだけでは物足りないという人はクリニックでの毛穴ケアを。治療や施術としては
1. フラクショナルレーザー:肌表面に微細な点状のレーザーを照射し、あえて小さな「傷」をたくさん作ることで、肌の再生力を引き出す治療。例えるなら、芝生の地面に細かい穴を開けて新しい芽が生えやすくする「エアレーション」のようなもの。レーザーで刺激された部分ではコラーゲンやエラスチンが新たに作られ、肌が内側からふっくらと再生されるため、たるみ毛穴や凹凸が目立ちにくくなります。肌全体のハリもアップし、引き締まった印象に導きます。
2. マイクロニードリング(ダーマペン・ポテンツァ):極細の針で肌に小さな穴を多数開け、自然治癒力を活性化させる治療。ポテンツァはこの針に高周波(RF)の熱エネルギーを加えることで、さらに効果を高めます。この仕組みは、畑に細かく耕し直すことで土壌がふっくらし、新しい作物が育ちやすくなるのに似ています。針で刺激された部分ではコラーゲンやエラスチンが増え、肌が内側からしっかりと再構築されるため、毛穴が引き締まり、なめらかな肌質へと導かれます。
3. ピーリング:専用の薬剤で古い角質や毛穴に詰まった汚れをやさしく溶かし、肌のターンオーバー(新陳代謝)を促進する治療。これは、くすんだ窓ガラスをきれいに磨くことで、ガラス本来の透明感やなめらかさがよみがえるイメージに近いです。不要な角質や皮脂が取り除かれることで毛穴が詰まりにくくなり、黒ずみやざらつきも改善。肌表面がなめらかになり、毛穴の目立ちにくい状態を保ちやすくなります。
4. エレクトロポレーション:微弱な電気パルスで一時的に細胞の隙間を開き、美容成分を肌の奥深くまで届ける施術。例えるなら、しっかり閉まったドアに一瞬だけスキマを作って、必要な荷物を奥の部屋まで運び入れるイメージです。通常は浸透しにくいビタミンCやヒアルロン酸などの有効成分が毛穴の奥までしっかり届くため、毛穴の引き締めや皮脂コントロール、肌のハリ感アップに効果が期待できます。針を使わないため、痛みやダウンタイムもほとんどありません。
このように、それぞれの施術は「肌の再生力を引き出す」「不要なものを取り除く」「必要な成分を奥まで届ける」といった異なるアプローチで、毛穴の開きに働きかけます。ご自身の肌状態やライフスタイルに合わせて選択することが大切です。
牧野 潤 / Jun Makino, MD.
JSKINクリニック代表 形成外科専門医
慶應義塾大学医学部 形成外科 助教
日本形成外科学会専門医
日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
日本再生医療学会
日本乳癌学会 正会員
2015年3月 慶應義塾大学医学部卒業
(在学中にシンガポール国立大学医学部留学)
2015年-2017年 株式会社ボストンコンサルティンググループ勤務
2017年-2019年 都内総合病院にて初期臨床研修修了
2019年4月 慶應義塾大学医学部 形成外科教室入局
慶應義塾大学病院形成外科及び医局関連病院(埼玉医科大学総合医療センター形成外科・美容外科、太田記念病院形成外科など)にて勤務
2023年4月より 慶應義塾大学医学部 形成外科 助教(日本形成外科学会専門医)
2024年6月 慶應義塾大学病院美容医療外来 立ち上げ
現在に至る

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