SKIN REJUVENATION
ミスター慶応医学部 Dr.牧野のビューティ塾 Vol.10 老けて見える「枯れ顔」にハリを取り戻す!
毎回、読者の悩みに対して「すぐに始められる実用的なアドバイスをしてくれる」と人気のこの連載。今回は「肌のハリ」についての質問に答えてもらいます。
Q.
朝起きた時、以前はピンとしていた肌が、今はハリがなく、ぺたんとしおれている感じがします。触った感じも以前と違うのが悩みです。ハリを取り戻すにはどうすればいいでしょうか? 寝る前や朝一番に行った方がいいケアなどを知りたいです。
A.
朝起きたとき、以前はピンと張っていた肌がぺたんとしおれたように感じる――この変化は、加齢や生活習慣、乾燥など複数の要因が重なって起こります。ハリを取り戻すためには、寝る前と朝のケアを見直すことがとても大切です。肌のハリ低下の主な原因は3つ。
ハリ低下の主な原因とは
1. コラーゲンとエラスチンの減少・変性
肌のハリや弾力は、真皮層にある「コラーゲン」と「エラスチン」というたんぱく質によって支えられています。コラーゲンは“ぷるぷるのゼリー”のように肌の柔らかさを、エラスチンは“バネ”のように弾力を保つ役割を担っています。しかし、加齢や紫外線の影響でこれらの成分が減ったり質が変わったりすると、肌がしぼんだ風船のようにピンとしたハリを失いやすくなります。
2. 乾燥とターンオーバーの乱れ
肌が乾燥すると角層細胞の弾力が低下し、キメが乱れ、手触りもごわつきがちに。ターンオーバー(肌の生まれ変わり)が乱れると、古い角質が残り、ふっくら感が損なわれます。
3. 表情筋や皮下脂肪の菲薄化(ひはくか)
加齢や表情筋の衰え、皮下脂肪の減少によって、肌を内側から支える力が弱まります。例えるなら、ふかふかのクッションの中綿が減ってしまうと表面がしぼむように、筋肉や脂肪のボリュームが減ることで肌表面がしおれやすくなります。
今回はすぐに実践できるケアを夜と朝に分けてご紹介します。
夜のケアは「翌朝の仕込み」
夜のスキンケアは、単なる「1日の汚れ落とし」や「乾燥対策」ではありません。肌は眠っている間に“夜間工事”のように細胞の修復や再生を行っています。この「工事現場」にしっかりと材料(=水分・栄養・美容成分)を届けておくことで、翌朝の肌のハリやふっくら感が変わります。
●「追いクリーム」でうるおいの“ラッピング”
クリームや乳液は、スキンケアの最後に1回だけでなく、乾燥が気になる日は就寝直前にもう一度重ねてみてください。これは、夜間に蒸発しやすい水分を「ラップ」で包むように閉じ込めるイメージ。翌朝の肌のもっちり感が違ってきます。
●スペシャルケアは“夜のご褒美”
週に1~2回は、シートマスクやスリーピングパックを取り入れてみましょう。肌に“ご褒美”を与えることで、普段のケアでは届かない深部まで美容成分が行き渡り、翌朝のハリ感がワンランクアップします。
●睡眠の質も“美容液”
ただ長く寝るのではなく、リラックスした状態で深い眠りにつくことが、成長ホルモンの分泌を促し、肌の修復力を最大化します。寝る前のスマホや強い光を避け、アロマやハーブティーで“おやすみスイッチ”を入れるのも効果的です。
朝のケアは「一日の肌を守る“バリア作り”」
朝は“寝起きの顔を洗う”だけではありません。「これから外敵(紫外線・乾燥・花粉など)に立ち向かうバリア」を作る時間なのです。
●洗顔は“リセットボタン”
寝ている間に分泌された皮脂や汗、寝具のホコリなどは、例えるなら「夜の間にたまった部屋のホコリ」。洗顔料を泡立ててやさしく落とすことで、肌が“まっさら”な状態にリセットされ、次に使う化粧水や美容液の浸透力がぐんと高まります。
●保湿は“朝のプライマー”
保湿は、メイクのノリを良くするだけでなく、日中の乾燥や刺激から肌を守る“下地”の役割。水分をたっぷり与えた後は、乳液やクリームでしっかりふたをしましょう。肌がしっとりしていると、ファンデーションの密着度もアップし、夕方までハリ感が続きやすくなります。
●紫外線対策は“透明なマント”
日焼け止めは、肌に見えない“透明なマント”をまとわせるイメージ。紫外線は春夏だけでなく一年中降り注いでいるので、毎朝の習慣に。ムラなく丁寧に塗ることで、肌のハリや弾力を守る“盾”になります。
●朝の表情筋ストレッチで“目覚めのリフト”
顔の筋肉も寝ている間は休んでいます。朝、鏡の前で「あいうえお」と大きく口を動かす、口角をキュッと上げるなど、表情筋を意識的に動かすことで、顔全体が“目覚め”、血行も促進。肌のハリ感がアップしやすくなります。
「当たり前」のケアこそ、ちょっとした工夫や意識の違いで、翌朝の肌の印象が大きく変わります。夜は“仕込み”、朝は“バリア作り”と考えて、ぜひ毎日のケアで肌のハリの変化を楽しんでみてください。

牧野 潤 / Jun Makino, MD.
JSKINクリニック代表 形成外科専門医
慶應義塾大学医学部 形成外科 助教
日本形成外科学会専門医
日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
日本再生医療学会
日本乳癌学会 正会員
2015年3月 慶應義塾大学医学部卒業
(在学中にシンガポール国立大学医学部留学)
2015年-2017年 株式会社ボストンコンサルティンググループ勤務
2017年-2019年 都内総合病院にて初期臨床研修修了
2019年4月 慶應義塾大学医学部 形成外科教室入局
慶應義塾大学病院形成外科及び医局関連病院(埼玉医科大学総合医療センター形成外科・美容外科、太田記念病院形成外科など)にて勤務
2023年4月より 慶應義塾大学医学部 形成外科 助教(日本形成外科学会専門医)
2024年6月 慶應義塾大学病院美容医療外来 立ち上げ
現在に至る
JSKINクリニック
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