美の源流を遡る 植松晃士のHistory of the Brand

現代ならカリスママーケター!ミセス エスティ ローダーのブランディング手腕

エスティ ローダー

©Skrebneski

世界の美容業界を牽引し続ける
エスティ ローダーを立ち上げた
カリスマ女性のストーリー

メイクのトレンドをキャッチできるシーズンごとのカラーコレクションや、自分にあったお手入れの参考になるスキンケアコスメのサンプルは、美容好きにとって大好物。
そんな今では当たり前になったイベントやサービスを、最初に取り入れた人物をご存じでしょうか? あの世界的プレステージ ビューティ ブランド、エスティ ローダーの創業者である、ミセス エスティ ローダーです。
今回はビューティ ブランドの先駆者であり敏腕マーケターでもあった彼女の伝説的エピソードを始め、ブランドのスキンケアに応用されている先端の研究など、エスティ ローダーの歴史や魅力をレポート。この秋発売になる 新スキンケアシリーズ「アクア チャージ」についてもお伝えます。エスティ ローダーのファンはもとより、美容業界の裏話に興味のある方も必見です。

現代ならカリスママーケター!
ミセス エスティ ローダーのブランディング手腕

エスティ ローダーブランドを立ち上げたときに販売していた、4つのスキンケアコスメ。
エスティ ローダーブランドを立ち上げたときに販売していた、4つのスキンケアコスメ。「女性は誰でも美しくなれる、というシンプルな理念をもとに、ブランドを立ち上げました。」

ブランドの創業者であるミセス エスティ ローダーについて詳しく教えてくれたのは、エスティ ローダーPRの川窪麻美さん。「ミセス エスティ ローダーは、アメリカのニューヨーク州、クィーンズの出身。高校生の頃、科学の知識を持つ叔父が手作りしたスキン クリームを手にして美容に目覚め、クリームの製法とお手入れの方法を学んだと言います」。その後結婚してマンハッタンへ移り住み、ローダーの姓になったエスティは、美容院でスキンケアやメイクアップのコスメを販売するように。美容院へ出かけていき、被るタイプの旧式ドライヤーで髪を乾かしているお客さんに、コスメのデモンストレーションを行った伝えられています。その後正式にエスティ ローダー ブランドを立ち上げ、一年後には百貨店「サックス フィフス アベニュー」からの大口注文を獲得。

多くの女性で賑わうエスティ ローダーのカウンター。
多くの女性で賑わうエスティ ローダーのカウンター。

その成長を支えたのは、他ならぬミセス エスティ ローダーのマーケティング手腕でした。「“製品を売るにはお客様が実際に触れて結果を確かめ、製品の説明をしなくてはならない”というのが彼女の信条。新しい店舗を立ち上げるときは可能な限りオープニングに立ち会い、現地の美容部員たちに販売テクニックを伝授しました。さらに、製品を購入した方にはギフトを提供する、時代ごとにブランドの顔になるモデルを選ぶ、口コミキャンペーンを展開するなど、今では当たり前だけど、当時としては革新的なマーケティング手法を次々と取り入れていったのです」

女性はもっと楽しむべきという
現代的思想をフラグランスに託す

現代美容業界の常識につながるミセス エスティ ローダーの偉業は、まだまだあります。「1953年に開発した“ユース デュー”は、バスオイルとしてもスキンパフュームとしても使える斬新なアイテム。誕生日や結婚記念日などに夫から贈られるものであり、特別な日に身につけるものであったフラグランスをより身近なものとして提案し、“女性は毎日、自分自身を喜ばせることができる。そして喜ばせるべきである”という革命的な考え方を、世に広めるきっかけにしたのです」

ユース デュー

ユース デュー 日本未発売品

「さらに1962年には、最初のカラーメークアップ コレクション“イブニング メークアップ コレクション”を発表。この時代、ポイントメークは単色で発表するのが普通でした。しかしミセス エスティ ローダーはたった1色のアイテムが全ての女性に似合うわけがないと考え、カラーバリエーションのあるコレクションを用意することで、女性に選択肢を与えたのです」。このマインドは現在も受け継がれており、ブランドを代表するリップ アイテムである「ピュア カラー」には、100色以上のシェードがそろいます。

新しいアイデアをいちはやく取り入れてきたミセス エスティ ローダーのマインドは、スキンケアの研究にも生かされています。次回はブランドの美肌作りを支える3つのスキンケアサイエンスと、研究成果を応用したスキンケアについてお届けします。
            
            

エスティ ローダー
https://www.esteelauder.jp/

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