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SENLY★韓流サランヘヨ #.12 ドラマ『おつかれさま』での“武骨で実直な男”役で新境地 パク・ボゴム

アジアのみならず、世界でも話題となっている韓流ドラマ。その主役を演じる俳優たちはファンミーティングを開催すれば1万人規模のファンが詰めかけるなど、まるでアイドル歌手さながらの人気となっています。そんな俳優たちが出演するドラマや映画。いろいろありすぎて何から観ていいの?と迷ってしまう方も多いはず。そこでSENLY★韓流サランヘヨでは、旬の俳優とともに、今観るべきおすすめ作品とその見どころについてもご紹介していきます。第12回目にご紹介するのは、パク・ボゴムです。
Netflixシリーズ『おつかれさま』独占配信中
爽やかな笑顔や礼儀正しさから、韓国では「国民の彼氏」との異名を持つほど人気の高いパク・ボゴム。その彼が主演を務めたドラマ『おつかれさま』は、韓国の済州島を舞台に3世代家族がつむぐ壮大なヒューマンドラマとしてNetflixで3月から配信されるやいなや大きな話題となりました。当初、私の周りには“ノスタルジック過ぎて食指が動かない”とのたまう友人たちがちらほらいたのですが、見始めた途端「先入観が覆された!」「何度も泣いた!」との声が続々届くほど。事実、その実力は5月に行われた、韓国のゴールデングローブ賞とも評される第61回百想芸術大賞で、作品賞、脚本賞など4冠に輝いたので、傑作であることは折り紙つきです。そんな話題のドラマを盛り上げた主演のパク・ボゴムについて、ご紹介しましょう。
1993年にソウル特別市で生まれ、現在32歳のパク・ボゴム。ハイブランドのアンバサダーも務めるほどのスタイルの良さだけでなく、ピアノの弾き語りがきっかけでデビューにつながったほど、歌もピアノもできるマルチな才能の持ち主でもあります。2011年に映画『ブラインド』で俳優デビュー。2015年の大ヒットドラマ『恋のスケッチ~応答せよ1988』では、主要キャストの一人として幅広い世代から注目を集めると、続く2016年に初主演した時代劇『雲が描いた月明り』では、ツンデレな世子役を務め、最高視聴率25%という記録でトップ俳優の仲間入りを果たします。
『雲が描いた月明り』 Licensed by KBS Media Ltd. © Love in Moonlight SPC All rights reserved U-NEXTにて独占配信中
その後もトップ女優ソン・ヘギョと共演し、年下彼氏としての魅力が炸裂した『ボーイフレンド』や『青春の記録』など数々の話題作に出演した彼は人気絶頂の時に入隊。2022年の除隊後、数々のオファーの中から復帰作として選んだのが冒頭に紹介した『おつかれさま』なのです。
『ボーイフレンド』©STUDIO DRAGON CORPORATION U-NEXTにて配信中
ドラマ『おつかれさま』は、不朽の名作としても知られる『ミセン-未生-』や『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』のキム・ウォンソク監督と『椿の花咲く頃』の脚本家イム・サンチュンの2人がタッグを組んだことでも大きな期待が寄せられていました。その前評判をさらに高めたのが、歌手としても大活躍で『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』の名演技で知られるIUが主演のエスン役。パク・ボゴムがその夫役グァンシクを務めたからなのです。
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韓国の済州島を舞台に、この島で海女の娘として生まれ育った少女エスン(IU)は、島を出てソウルの大学に進学し、詩人になることを夢見る文学少女。しかしその夢がかなわず、小さい頃から一途にエスンを思い続けた幼馴染のグァンシク(パク・ボゴム)と結婚し、3人の子どもの母に。夢をあきらめ、貧しい中でも必死に生きてきた2人を絶望の淵に突き落とすような悲しい出来事が襲うなど、時代に翻弄されながらも、必死に子どもたちを育てあげる1960年代から2020年代までの2人の長い人生を描いたのが、ドラマ『おつかれさま』です。
エスンの娘時代、そして妻となり母になってからもずっと寄り添ったのが、鉄のよう強い意志で家族を守り抜いた夫のグァンシク(パク・ボゴム)。パク・ボゴムは、それまでの爽やかなイケメンの風貌を封印するように、日焼けし、逞しい身体とワントーン低い声で、一途で寡黙な海の男を作り上げました。ドラマのあるシーンで、船から海に飛び込み、エスンが待つ岸壁に向かう場面があるのですが、スタントマンなしにパク・ボゴムが実際に泳いだというのだから、まさに熱い男グァンシクそのもの。2人の成長ストーリーは、中年期、老年期をベテラン俳優のムン・ソリとパク・ヘジュンがそれぞれ引き継ぎながら、家族の葛藤や絆、島の人々との友情、女性が生きづらい時代にどう立ち向かうかが済州島の美しい映像や壮大なスケールとともに紡がれていきます。子を思う母、母を思う子、子を思う父の気持ちなどがさまざまな視点で語られるストーリーには、幅広い世代が自分に置き換えて感情移入し、涙なしには見られない名台詞が随所に散りばめられていることも、大きな反響を呼んだのかもしれません。
このドラマは主演の2人はもちろんですが、バイプレーヤーの演技も要注目です。特に、エスンの幼いころに亡くなった母役を演じたヨム・ヘランの演技は圧巻。自らも貧しさ故にかなえられなかった夢を娘に託し、そして深い愛で必死に娘の夢を応援し、守ろうとする鬼気迫る演技は、今年の百想芸術大賞で助演女優賞を受賞したのも納得です。時代が移り変わろうとも変わらぬ“深くて大きい愛”の余韻。ハンカチを握りしめながら感じてくださいね。
話題のドラマ『おつかれさま』の興奮も冷めやらないパク・ボゴムですが、新作ドラマ『グッドボーイ』がAmazonプライム・ビデオで始まっているので、今後のさらなる活躍から目が離せません。
【PROFILE】
韓流ライター 橋本嘉美
「冬ソナ」時代から韓国ドラマを見始め、「私の名前はキムサムスン」でヒョンビンにドはまり。以来、イケメン俳優たちの成長を見続けて早20年ですが、これまでに見たドラマや映画、バラエティは数百本以上。韓国俳優たちのファンミフリークでもあるので、彼らの素顔などもご紹介していきます。
text:YOSHIMI HASHIMOTO