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SENLY★韓流サランヘヨ #.13 ~アジア中で『恋人』旋風を巻き起こした演技の神 ナムグン・ミン~

アジアのみならず、世界でも話題となっている韓流ドラマ。その主役を演じる俳優たちはファンミーティングを開催すれば1万人規模のファンが詰めかけるなど、まるでアイドル歌手さながらの人気となっています。そんな俳優たちが出演するドラマや映画。いろいろありすぎて何から観ていいの? と迷ってしまう方も多いはず。そこでSENLY★韓流サランヘヨでは、旬の俳優とともに、今観るべきおすすめ作品とその見どころについてもご紹介していきます。第13回目にご紹介するのは、ナムグン・ミンです。
韓国では、"演技の神"や"視聴率男"とも呼ばれ、主演作が軒並みヒットしているナムグン・ミン。彼が主演するなら間違いなく面白いはず! そんな大きな信頼を寄せられているナムグン・ミンは、1978年生まれの47歳。2001年に『バンジージャンプする』で俳優デビュー後、さまざまなドラマに出演してきましたが、彼の名を一躍有名にしたのが、2017年に主演を務めたドラマ『キム課長とソ理事~Bravo! Your life~』です。ひょうひょうとした演技でコメディの才能も開花させ、40代にして大ブレイクを果たしました。その後も、野球経験ゼロのゼネラルマネージャー役で万年最下位の野球チームを立て直すヒューマンドラマ『ストーブリーグ』に主演すると2020年の数々のドラマアワードを席捲。この作品は、今年日本でもリメイクされる予定です。
『黒い太陽 コードネーム:アムネシア』©2021MBC U-NEXTにて独占配信中
また2021年のサスペンス・アクションドラマ『黒い太陽~コードネーム:アムネシア~』では、国家情報院のエリート要員という役柄のため、驚異の肉体改造で10キロも増量。ハードなアクションシーンも迫力満点で、自分を陥れた巨悪に復讐を誓う孤高のスパイ役を熱演し、その年のMBC演技大賞を受賞。実力派俳優としての地位を不動のものにしたのです。コメディからシリアスまで、その演技の幅広さに驚かされるナムグン・ミン。なかでも特におすすめしたいのが、2023年に放送され、アジア中で旋風を起こした時代劇『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』です。
『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』©2023MBC U-NEXTにて独占配信中
このドラマは、清が朝鮮に侵略した「丙子の乱」(1636~1637)を背景に、激動の時代の中で、何度もすれ違いながらお互いを思い続ける男女の純愛を描いた壮大なロマンス時代劇です。ナムグン・ミンが演じるのは、女好きの非婚主義と見せかけて、実は商才に長け、武術にも精通した謎多き通訳官イ・ジャンヒョン。ヒロイン・ギルチェを演じるのは『賢い医師生活』で注目を集めたアン・ウンジン。自由奔放で、初恋の人との結婚を夢見る両班(ヤンバン)のお嬢様として登場しますが、戦乱の中で困難を乗り越え、芯の強い女性へと成長していきます。やがて、最初は嫌っていたはずのイ・ジャンヒョンに心惹かれていくその繊細な心の揺れを丁寧に表現した演技は、ナムグン・ミンにも引けを取らない存在感です。
清に侵略され、朝鮮が混乱に陥っていたこの時代の朝鮮は、儒教の教えこそが絶対の道理。女性の貞節が強烈に重んじられ、敵兵に触れられるぐらいなら自死を選んだほうがよい。離縁されても仕方がないという価値観が数々の悲劇を生み出していました。そんな中、敵国に囚われ貶められ、人間としての尊厳すら奪われたギルチェは、深く傷つきながらも、自立した女性としてたくましく生き抜こうとします。そんな彼女を助けるため、命がけで戦地に向かうイ・ジャンヒ(ナムグン・ミン)。儒教の教えをものともせず、傷ついた彼女をやさしく包み込み、慈しむ姿こそ、真の勇敢さであり強さだと心打たれる視聴者が続出したのも納得です。百想芸術大賞の男性最優秀演技賞、MBC演技大賞受賞など数多くの賞を獲得した話題作は見応えたっぷりなので、ぜひご覧ください。
現代劇から時代劇まで、どんな役でもドラマの世界に引き込んでしまうナムグン・ミン。最新作『私たちの映画』(Disney+)では、美しい余韻の残る演技で、新たな一面を発揮しているので、今後も彼の出演作からは目が離せません。
【PROFILE】
韓流ライター 橋本嘉美
「冬ソナ」時代から韓国ドラマを見始め、「私の名前はキムサムスン」でヒョンビンにドはまり。以来、イケメン俳優たちの成長を見続けて早20年ですが、これまでに見たドラマや映画、バラエティは数百本以上。韓国俳優たちのファンミフリークでもあるので、彼らの素顔などもご紹介していきます。
text:YOSHIMI HASHIMOTO